Vol.350 支払いの優先順位

配信日:2020年5月27日

 

ようやく緊急事態宣言が全面解除となり、
これから徐々に経済の再開が進んでいきます。

 

これまでの自粛生活の中で多くの企業が厳しい状況に
なってしまっていますが、ここからどのように立て直しを
していくか、各社真剣に考えていることと思います。

 

私のメインの仕事は、事業再生のコンサルティングです。
主に、損益、資金繰りの改善に向けた取組みのご支援ですが、
これまでにリーマンショック、東日本大震災の影響によって
危機的状況から立て直すお手伝いをしてきました。

 

今回のコロナショックは、それらよりもさらに厳しい状況と
言われていますが、社長の気持ちが切れずにやり切る覚悟を
持っていただけたら、きっと立ち直るものと信じています。

 

多くの会社は、日本政策金融公庫や信用保証制度を活用し、
コロナ対応の融資を受けていると思います。
まだ手続き中の会社も多いかもしれませんね。

 

いずれにしても、資金調達することで、数か月程度の
資金繰りの目途は一旦付いていると思いますが、
その後については不安定な状況と思います。

 

私の顧問先も同じような状況です。
当面の資金繰りはケアできても、これからどうやって
立て直していくかが最重要テーマです。

 

コロナの先行きが予測できず、すぐに復活する事は難しい中、
今後の予測も含めた資金繰り管理が極めて重要です。

 

今回は、資金繰りが厳しくなった際に、どの支払いを
優先していくか優先順位を整理したいと思います。

 

中小企業の支払いの代表的なものは、

・人件費

・買掛金(仕入代・外注費等)

・諸経費(家賃など)

・税金、社会保険料

・銀行への返済

などです。

 

この中で、優先順位を付けるとすれば、どうなるでしょう?

 

一番優先順位が高いのは、やはり人件費です。
社員への給与支払いは何としてでも守らなければなりません。
雇用調整助成金などの助成金の活用も検討しながら、
社員が生活できるようにしていく事は重要です。

 

雇用調整助成金については、緩和措置が発表され、
申請の簡素化、助成される上限額の拡充など
これから手続きがしやすくなります。
ぜひ、お近くの社会保険労務士にご相談ください。

 

そして、次に優先順位の高いものは、買掛金の支払いです。

 

たまに、勘違いと言うか、思い込みで、優先順位の一番目や
二番目に銀行への返済を考えてしまう社長さんがいますが、
そうではありません。

 

昨今はリスケという言葉が身近な言葉となり、
このような間違った選択をしてしまうケースは減りましたが、
それでも、まじめな社長ほど銀行への返済を優先にして
しまう傾向にあります。

 

銀行への返済が遅れてしまったら、今後の資金調達に
悪影響があり資金繰りに大打撃を与えてしまうと考える
からですね。

 

たしかにリスケをすると、新規の融資を受けることは難しく
なりますので、その感覚はよく分かりますが、人件費や
買掛金の支払いを遅延するほどの資金繰り状況ですと、
たとえリスケせずとも、新規融資の可能性は極めて低いと
考えられます。

 

それよりも優先度が高いのは、人件費や買掛金の支払です。

 

特に、継続的に仕入を行ったり仕事をお願いしなければ
ならない取引先への支払いは気を付けなければなりません。

 

事業を継続させ、売上、利益を向上させるためには、
仕事をしなければなりません。その為には、仕入先や外注先は、
切っても切れない大切なパートナーです。

 

その大切なパートナーへの支払いを遅らせてしまっては、
今後良い関係を続けることは難しく、最悪、取引先から
今後の取引を停止される可能性だってあります。

 

そういった意味では、事業継続に不可欠な店舗などの家賃も
優先順位が高くなりますね。

 

家賃については、現在政府が新たに「特別家賃支援給付金」
の創設を発表しており、今後詳細が出てくる見込みです。

 

税金や社会保険料についても納付の猶予制度がありますので、
支払いの優先順位を下げることができます。

 

もちろん、銀行返済はせずに放っておけばよいという話では
ありません。きちんと早めに状況説明をしてリスケジュールの
手続きをして、正式に返済を待ってもらう手続きをします。

 

コロナの影響を受け、銀行もそうした依頼には柔軟に対応
してくれます。経営改善計画書を作るのに時間がかかりそうなら、
まずは、手ぶらで良いので、状況説明をすれば、とりあえず
リスケには応じてくれます。

 

その後、改めて立て直しのための計画を作り、
その計画書を提出することとなります。

 

本来リスケはできないリースの支払いもリスケが可能の
場合もあります。銀行ほどは楽ではありませんが、状況に応じて
リース会社にも相談してみてください。

 

なんでもかんでもリスケすれば良いわけではないのですが、
資金繰り表でシミュレーションして的確に早め早めの判断を
していく事が肝要です。

 

そして最も大事なのは、経営改善計画を必ず実行する事です。

 

ほとんどの会社にとって、これからが勝負の時です。
コロナに負けずに、必ず立ち直りましょう。

 

それでは、宜しくお願いいたします。

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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン
『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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