Vol.334 銀行融資の判断はどうなる?金融検査マニュアルが今月廃止。

配信日:2019年12月17日

 

金融庁は、この12月中に金融検査マニュアルを廃止する
としています。

 

これを受け、多くの地方銀行が困惑しているとの報道が
日経新聞でも記事になっていました。

 

ちなみに、金融検査マニュアルとは何かといいますと、
バブル崩壊によって銀行が抱えた不良債権を把握するため、
当時の金融監督庁(現、金融庁)が金融機関の検査をする
ために1999年に制定されたマニュアルです。

 

金融検査マニュアルは、金融機関の自己査定、つまり
貸付先企業の評価や貸倒引当金の計上の基準となり、
銀行の融資審査や貸付先企業の評価のよりどころと
なってきました。

 

いわゆる、「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」
「実質破綻先」「破綻先」に分類する債務者区分決める
基礎となるマニュアルとも言えます。

 

金融検査マニュアルは、銀行の財務状況を厳密に把握し、
金融不安を抑える効果がありました。

 

一方で、金融機関は厳しい金融検査を恐れ、融資の際に
決算書の数字や担保、保証に過度に依存し、数字に表れない
将来性等の定性面の評価をする妨げになっているという面が
指摘されており、今回の廃止につながっています。

 

マニュアルの廃止後は、各金融機関の独自の裁量で
貸付先企業の評価と貸倒引当金を柔軟に判断することが
できるようになります。

 

一見、今後は、数字に表れない定性評価も評価されやすく
なり、これまでの評価では融資できなかったケースにも
対応できるようになるなどプラスの面が期待できますが、
現実的には、そう簡単な話ではありません。

 

もちろん、そうした面が期待されているのですが、
肝心の金融機関の評価体制ができていないのです。

 

この約20年、ずーっと金融検査マニュアルをよりどころに
評価してきたところ、いきなり「これからは自由です。」と、
言われても、簡単には独自ルールなど作れません。

 

そうした声は全国の地銀、信金、信組といった
地域金融機関から出ているようです。

 

私の個人的な想像ですが、この後もしばらくは、
やはり金融検査マニュアルの評価方法が基礎となり、
だんだんと独自の見方を含めてリニューアルしていく
ような段階的な変化となると思います。

 

金融庁が期待するような、金融機関独自の評価に
生まれ変わるのには、10年、20年といった長い期間が
かかってしまうのではないでしょうか。

 

将来的には、この金融機関はこの部分を高く評価するが、
あの金融機関はそこは重視せずあの部分を評価する傾向に
あるというように、各行に特色が出てくるものと思います。

 

中小企業経営者は、取引金融機関の動向を常にウォッチして
銀行取引を進めていってほしいと思います。
それと同時に、数字に表れない定性面を正しく評価して
もらえるような努力をすることもとっても大切です。

 

それでは、次回もよろしくお願い致します。

 

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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン
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