Vol.344 改正民法、今日から施行!中小企業経営への影響は?

配信日:2020年4月1日

配信日:2020年4月1日

 

改正民法が今日(4/1)から施行されました。

 

1896年の民法制定から約120年ぶりの大幅な改正ということで、
大きな注目を集めていましたが、コロナショックの中、
ひっそりと施行日を迎えた感じになってますね。

 

しかし、この変更で中小企業の経営にも大きな変化が
生じてきます。

 

今回は、資金調達に関係する部分について
簡潔にお伝えしようと思います。

 

●保証人

保証人に関しては、民法改正にあたり、かなり議論され、
注目されたところでもあります。

 

中小企業経営者としては、銀行から融資を受ける際などに
おいても連帯保証人は身近な問題です。

 

今回の改正で、個人が事業用の融資の保証人になろうと
する場合には,公証人による保証意思の確認を経なければ
ならないこととされました。

 

この意思確認の手続を経ずに保証契約を締結しても,
その契約は無効となります。

 

ただし、主債務者の事業と関係が深い人に対しては、
この手続きは不要とされています。

 

関係が深い人とは、
1.主債務者が法人の場合
その法人の理事、取締役、執行役や議決権の過半数を
有する株主等
2.主債務者が個人事業主の場合
主債務者と共同して事業を行っている共同事業者や
主債務者の事業に現に従事している主債務者の配偶者

 

つまり、いわゆる経営者保証をとる場合は、
公証人による保証意思の確認をとる手続きはいらない
ということになります。

 

事業に関係ない第三者を保証人にする場合にこの手続きが
必要となります。

 

中小企業金融の現場では、これ以前から第三者保証の徴求を
原則禁止にしており、経営者保証についても2013年に
「経営者保証に関するガイドライン」が発表されており、
担保、保証に依存しない融資が進められています。

 

経営者の方は、この「経営者保証に関するガイドライン」の
存在を知り、おおまかにでも内容を知っておくと良いでしょう。

 

●債権譲渡制限特約

改正前の民法では、取引契約書に債権の譲渡を制限する
旨の特約(債権譲渡禁止特約・債権譲渡制限特約)があると
その取引から発生した売掛金などを第三者に譲渡することが
出来ませんでした。

 

昨今は、土地や不動産などの不動産ばかりではなく、
在庫や売掛金といった動産を担保とした融資の取り組みが
推進されています。

 

しかし、譲渡制限された売掛金は担保にできず、
売掛債権担保融資やファクタリングといった手法での
資金調達の障害になっていました。

 

今回の改正により、契約書に譲渡制限特約が付いていても、
債権譲渡は原則有効となることとなり、こうした手法での
資金調達がしやすくなりました。

 

これは、中小企業にとってありがたいことですが、
実際の現場では、譲渡制限特約の呪縛がなくなれば、
解決するかといえば、まだ結構なハードルがあるかなと
個人的には思っています。

 

売掛債権担保融資は、信用保証協会を活用した
公的な制度もありますが、これを専門とした
ノンバンクがノウハウを貯めて積極的に展開して
いました。

 

有名なところでは、東京スター銀行の子会社の
東京スタービジネスファイナンスがこの分野では
先駆的な立場でしたが、2019年5月から新規取扱いを
終了してしまいました。

 

現在は、宅急便のヤマト運輸のグループ会社の
ヤマトクレジットファイナンスなどが取り扱ってますが、
大手で取り扱っているところは少なく、ベンダーが少ない
状況です。

 

そもそも、売掛債権担保融資の利用のための要件は
結構ハードルが高く、小規模企業が活用できるケースは
少ないので、今回の改正で保証協会の保証付きの売掛債権
担保融資の活用が広がるなど、もっと使い勝手の良いもの
となることを期待します。

 

それでは、次回もよろしくお願い致します。

 

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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン
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