配信日:2020年3月9日
配信日:2020年3月9日
新型コロナウイルスの影響で日本に限らず世界中の会社が
厳しい経営環境に追い込まれてしまっています。
そんな中、日本でも有名なLCC(格安航空会社)である
エアアジア(Air Asia)が1年間飛行機乗り放題パスを約13,000円で
売り出して、先週話題になりました。
残念ながら、販売期間は3月7日までだったので、
今は購入することができません。
そもそも、マレーシア在住者が対象なので、
多くの方にとって関係ない話ではありましたが、
ここから得られる経営的なヒントについて触れて
いきたいと思います。
1年間乗り放題パスを約13,000円という破格で
販売して大丈夫なの??と、心配になりますが、
エアアジアにとってのメリットは何でしょう。
エアアジアはやっぱり安い!庶民の味方だ!
という、イメージ戦略もあるのでしょうが、
財務面・運営面の効果はどうなのでしょうか。
1.キャッシュフローの改善
まず、分かりやすいところでは、料金の先払いを
受けることで、資金調達の効果を発揮し、
キャッシュフローが改善するということが挙げられますね。
キャンセルが相次ぐこの状況において、一定の資金を
確保することは、経営的には非常に重要なことです。
危機的状況を乗り越えるために必要なものは何と言っても
キャッシュです。
とは言え結局、乗り放題の影響で、あとから厳しく
なってくるのでは?といった疑問が当然出てきますね。
2.航空チケット代以外からの収益
実は、全ての路線が乗り放題なのではなく、
4時間以上のフライトとなる日本、オーストラリア、
ハワイ、中国、インド、韓国など長距離路線が対象です。
ご存じの通り、LCCは、航空チケットは安いですが、
それをベースに、個別に預け荷物の費用や機内食、
座席指定などのオプション料金が積み上がる仕組みに
なっています。
つまり、長距離便であれば、旅行日数が長くなり、
荷物も大きくなるので預け荷物が発生する。長時間乗る
ので機内食を注文する。などなど、ベースのチケット代を
安くしても他のところでいくつもキャッシュポイントがあり、
そこからの収入を期待することができるわけですね、
メインサービスを安くしても派生的なサービスで
収益を得られる仕組みがあることがこのプロモーションの
肝だと言えるでしょう。
3.閑散期対策・オペレーションの効率化
また、このチケットはいつでも使えるわけではなく、
エアアジアの裁量で利用できる枠を設定するようで、
基本的には週末や繁忙期などの利用はできないようです。
すると、乗り放題パスのコントロールで閑散期の利用者を
増やす対策ができるというメリットもあります。
閑散期の谷を埋める効果は当然資金繰りにも大きいです。
さらには、14日前までの予約が必要で、キャンセル不可。
3回キャンセルしたら乗り放題パスが失効してしまうという、
なかなか厳しいルールで運用されるようです。
エアアジアにとっては、座席の埋まり具合が早く分かれば、
残席のさばき方も変わるし、人員配置も変わるでしょう。
予測しやすくなることでオペレーションの効率化を図れます。
以上、ざっと思いつくことを書いてみました。
あくまでも私の個人的な解釈ですが、当然ながら慈善事業
ではないので、単なる大盤振る舞いではなく、しっかりと
考えてのプロモーションのはずですよね。
こうした発想やアイデアはとても大切だと思います。
今現在、コロナウイルスの影響であらゆる業種の会社が
厳しい状況になっていますが、このピンチを乗り越える
ためには、工夫が必要です。
お客さんにもメリットがあって、自社にもメリットが出る
アイデアを考えたいですね。
以上、ご参考としてください。
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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン
『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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