配信日:2016年12月27日
配信日:2016年12月27日
今年一年を振り返ってみますと、中小企業を取り巻く金融環境は
大きな変化を始めた年であったと思います。
ここ最近、話題としてもよく上がる「事業性評価」や「信用保証制度の見直し」は、
中小企業が銀行から融資を受ける上で、大きな影響を与えるキーワードです。
「中小企業等経営強化法」というものも7月に施行されましたね。
はっきり言って、いろいろな制度ができたり変更されたりするので、
専門家でもついていくのが大変です。
それを、普段の仕事が忙しい経営者が常に最新の情報をチェックし、
内容を理解するというのは、とても大変なことでしょう。
このメルマガでは、なるべく分りやすく、重要なことについてお伝えしていく
所存ですので、どうぞ来年もよろしくお願いいたします。
来年は、財務や金融関連に限らず、経営者の方にとって役立つ情報やノウハウを
伝える場として、セミナーの開催をたくさん行おうと考えています。
皆さまとメールだけでなく、リアルで交流できる貴重な場として活発に取り組んで
いこうと考えています。
来年早々には、企画をご案内できると思いますので、ぜひチェックしてください!
さて、話が逸れましたが、
現在の政府は、中小企業支援施策として、起業、事業再生、事業承継、海外進出等に
特に力を入れていますが、私もまさにこの部分のご支援をする専門家として活動して
13年目になります。
そういった意味では、自分の方向性としては、間違っていなかったのだな。と、
ちょっと得意気になったりします。(笑)
実際、この分野の動きはどのような状況なのか、日本政策金融公庫(以下、日本公庫)の
報道資料を見てみたいと思います。
名前の通り日本の政策が反映される金融機関ですので、何となく流れが掴める情報の
一つだと思います。
日本公庫の発表によりますと、昨年度、平成27年度の創業融資実績は、
26,465企業(前年比102%増)で、企業数ベースでは過去10年で最高の実績でした。
今年はどうかと言うと、まだ28年度が締まっていないのでデータはありませんが、
日本公庫による中国5県の4~9月の実績について先月の日経の記事にありましたが、
創業融資の実施件数は、前年比113%で伸びているようです。
おそらく、全国的に見ても昨年度よりも伸びていることでしょう。
特に女性や若者層への融資が伸びているとのことで、政府の推進する
女性や若者への起業促進の効果が出ているようです。
女性の起業としては、小規模なものが多い傾向のようで、融資額も300万円以下が
多くなっています。
日本公庫の創業融資制度では、女性小口創業の特例として、300万円以内に限って、
経験や雇用等の要件を撤廃して、融資を受けやすくしていることが影響している
のだと思われます。
現在、見直しが検討されている信用保証制度においても、創業に関する
信用保証の拡充が検討されています。
案としては、限度額を現在の1千万円から倍の2千万円に拡充する方向のようです。
また、日本公庫では、海外展開をしようとする中小企業に向けた融資も行っており、
「海外展開・事業再編資金」という融資制度があります。
今年度の上半期の実績は1,219先(前年同期比128%)金額で231億円(同160%)と
先数・金額ともに過去最高となったようです。
積極的に輸出取引等に取り組む中小企業・小規模事業者が増加していることなどが
背景にあるとのことです。
このように、ある一定の成果も出てきているようです。
今後も現政権が維持される間は、方針は変わらず、この分野の強化をしていく
施策がなされていくはずです。
そして、事業性評価に基づいた地域金融機関による融資も各行が工夫を凝らして
取り組んでくるものと思われます。
既に一部の地銀や信金にてオリジナリティのある取り組みがされています。
一口で事業性評価と言ってもそれを実行することは至難の業で、
金融機関の現場も相当に悩んでいると思いますが、本来あるべき地域金融の
姿であるとして、来年はさらに大きな変化が出てくるのではないかと思います。
中小企業経営者の皆さまにおかれましては、この大きな変化にしっかりと
ついていき、自社にメリットのある制度や施策に素早く反応して、
チャンスにしていくことが求められます。
2017年は、今年よりもさらに良い年となるよう、頑張ってまいりましょう!
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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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