配信日:2016年7月5日
配信日:2016年7月5日
ここ数週間の中で、世界的に様々な大事件が起こりました。
一番の大きな事件と言えば、やはりイギリスの国民投票結果で「EU離脱」と
なったことでしょうか。
先日のバングラディシュでのテロも多くの日本人が巻き込まれ、
大惨事となっています。
イギリスのEU離脱については、開票直後から数日間、混乱状態が続き、
株式市場では、日経平均株価がリーマンショック時を上回る約16年ぶりの
下げ幅を記録しました。
為替相場においても、円の対ドルレートは一時的に1ドル99円台を付け、
今もなお、102円台を小刻みに上下している状態です。
2013年4月から始まった異次元緩和の前の状態に逆戻りしているような
状態となってしまい、この影響は当然、中小企業にも大きく影響します。
政府は、離脱が決定的になった6月24日すぐに
「中小企業の資金繰りへの影響を最小限に食い止める」とし、
資金繰り支援の検討に入り、政府系金融機関である商工組合中央金庫や
日本政策金融公庫を通じた低利融資の実施などの検討を始めました。
その後、現在まで具体的な対応策についての発表はありませんが、
関連情報へのアンテナを高くしておくことが必要です。
各自治体においても相談窓口を設置しています。
金融機関へは、中小企業の実情を踏まえた、きめ細かな対応を図り、
円滑な資金供給への協力を要請しています。
このようなイギリスのEU離脱による混乱が冷めない中、
バングラデシュの首都ダッカでのテロが起こりました。
バングラディシュというと、普段それほど話題に上がらない、
それほど身近な国ではないかもしれませんが、日本政府が
インフラ整備等で積極的に支援している国の一つです。
経済的にも例えばアパレル業界においては、ここ数年注目されている
皮革製品の輸入先です。
バングラディシュから輸入する靴やかばんなどの皮革製品やその原材料
には関税がかからないとして、アパレル企業は多くバングラディシュの
企業との取引を拡大しています。
今回の事件はアパレル業界にとっても打撃でしょう。
その他、建設関係、商社関係の企業にとっても打撃です。
このように、ここ数週間でも、想像を超えるような事態が発生し、
まさに先が見えない状態ですが、そんな中でも中小企業は力強く
生き残っていかなければなりません。
以前、とあるセミナーに参加した際に、興味深い話を聞きました。
いわゆる「老舗企業」についての研究がテーマだったのですが、
老舗企業が「大切にしているもの」となんだと思いますか?
日本は、世界一の老舗企業大国で、創業100年以上の企業は19,500社も
存在するそうで、200年企業にいたっては世界に7千社あるうちの半分近くが
日本あるとのことです。
私のお客様にも創業100年を超える会社さんがいらっしゃいます。
そんな日本の老舗企業が大切にしているものとはなんでしょう。
伝統、経営理念、信頼、人材・・・いろいろ思い浮かびますね。
もちろん、これらはとても大切で、長く継続するための重要な要素です。
しかし、ここでの答えは、「キャッシュ(お金)」です。
大切なのは「金」という答えだと、なんとなく「結局金かい!」と
拝金主義的なイメージを受け、残念な気持ちになるかもしれませんが、
そういうことではなく、事業を長く継続していれば、様々な事件が起こり、
そこから発生する危機を乗り越えなければなりません。そういった際に、
キャッシュがなければ乗り越えることが出来ない。ということなのです。
200年も続いている企業は、1800年代から続いていることになりますが、
現在までに明治維新があり、関東大震災があり第二次世界大戦があり、
近年ではリーマンショック、東日本大震災というように、ものすごい
インパクトのある事件をたくさん乗り越えてきています。
これらの危機的状況の中、事業を継続し、雇用を維持する為にも資金は欠かせません。
こういったことから、常に手元資金を潤沢にしておくことを意識しています。
実際、金融機関が取引先企業の財務診断をする際にも「支払余力」は
重要な診断ポイントであり、突発的な事件が発生した場合にも耐えることが
できる余力がある状態にあるかを見極めます。
支払余力があれば、例え危機状況が発生し、赤字に転落してもすぐに倒産
してしまうようなことは起きないという考えです。
中小企業の多くは、資金的な余裕を持つことが難しい環境にありますが、
そのような中でもこのような意識を持って経営しているか否かということは
将来的に大きな差になってきます。
手元資金ばかりではなく、必要なタイミングに必要な量の資金調達を行える
体制づくりも含め、財務基盤の強化は中小企業にとって極めて重要な経営課題です。
長くなってしまいましたが、ぜひ、これらのことを意識してださい!
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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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