配信日:2014年5月21日
配信日:2014年5月21日
先日の日経新聞にも報道されていましたが、信用保証に関して
大きな見直しが議論されています。
ここ数年、中小企業の資金調達は、信用保証協会の保証付きの融資など
公的融資中心にされていましたが、ここにきて、景気の回復を背景に
リーマンショック後に拡大されたセーフティネット5号の対象業種を
リーマンショック前程度に戻す検討など公的信用保証を段階的に縮小する
方向で検討されるようです。
さらに、保証率を現在の原則8割からさらに下げていくことも
検討されるようです。
2012年度末時点で信用保証協会による保証がついた融資の残高は
32兆円あり、150万社が利用していますが、代位弁済によって
信用保証協会が借主に代わって弁済した金額は保証料を上回る
状態が続き、2012年度は3500億円の収支赤字です。
この赤字に対しては国が財政支援しているわけですが、
国の財政も余裕はなく、信用保証協会の収支悪化が続くことは
避けなければなりません。
しかし、現実的な状況を見ると、中小企業金融円滑化法の施行により
条件変更(リスケ)を行った企業は40万社に上り、このうちの5~6万社は
出口の見えない状況にあると言われています。
これらの会社に対する融資が今後において代位弁済されることとなれば、
さらに信用保証協会の財政悪化を招くことになります。
こうした流れの中、緊急保証の対象業種の減少と保証率の見直しに
繋がっているわけですが、中小企業にとっては大きな影響のある内容です。
特に保証率が現在の8割からさらに下がれば、銀行の貸出姿勢も
さらに慎重になることでしょう。
中小企業経営者としては、今後自社が悪影響を受けないように
するためにも信用保証協会の保証付き融資に頼らずに、
銀行プロパーでの融資を受けられるような財務体質にしていくことが
必要となっていきます。
現在、リスケを行っている企業は、一刻も早く経営改善を実行し、
銀行取引の正常化を実現させていかなければなりません。
特に、13年3月に円滑化法が終了してから1年ほどは、
金融庁は、引き続き金融機関に「返済猶予」を求めて来ましたが
今年の3月頃から大きく方針が変わり、「抜本的な企業再生」を
求める方向に向かうこととなりました。
経営改善の進まない企業に対しては「転廃業を促す」という
方針に転換したのです。
これにより、中小企業は淘汰が進み、経営改善の進まない企業は
事業存続の危機を迎えてしまう可能性が高まります。
私も事業再生支援の仕事を通じて、多くの会社の経営改善に
取り組んでいますが、経営改善は、口で言うほど簡単なことでは
ありません。
重要なのは、計画を作ることではなく、実行していく行動力です。
本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
メルマガの購読はこちらからお申込み頂けます。