Vol.213 創業支援関連制度の拡充

配信日:2014年1月29日

最近は日が長くなり、春の訪れを感じてきましたね。

来週は、節分の豆まき、そして立春。いよいよ春です。

新年度が目前のこの時期、これまで勤めてきた会社を退社し、
新たに自分で事業を始めようという方からの起業のご相談が
多い時期でもあります。

現政府は、アベノミクスの第三の矢、成長戦略において、日本の開業率を
現状の約5%程度から倍の10%に引き上げることを打ち出している事は、
もう皆さんご存知の通りです。

それに関連して、昨年末に閣議決定された「好循環実現のための経済対策」、
「平成25 年度補正予算案」を踏まえ、中小企業・小規模事業者の
資金繰り対策事業について、中小企業庁より公表されています。

昨年末に公表されているので、既にご存じの方もいらっしゃるかとは
思いますが、今回は、その中の「創業支援関連制度の拡充」について
現在分かっている範囲でご紹介します。

内容としましては、日本政策金融公庫の創業融資について
かなり拡充されるようで、これから創業する方や創業間もない方に
とっては要チェックの内容です。

ただし、まだ閣議決定段階であり、現在行われている通常国会を経て
成立しますので、下記に記載する内容は、最終決定の内容ではないので、
ご注意ください。
しかし、下記の内容から大きくは変わらないと想像します。

○新創業融資制度

貸付対象:海外展開資金を追加
貸付限度額:1,500万円⇒3,000万円(運転1,500万円)
自己資金要件:開業資金総額1/3→1/10(※)
貸付期間:設備10年→15年
据置期間:6ヶ月→設備2年、運転1年
※一定期間の勤務経験を有する者等は同要件を適用しない。

新創業融資制度は、これから創業を予定している方や創業してから
2期の決算を迎えていない方が利用できる無担保・無保証の融資制度です。

多くの創業者が利用する代表的な創業融資制度ですが、
大幅に拡充されるようです。

貸付限度額は、現在の金額から倍増。
さらに注目は、自己資金要件の大幅緩和です。

創業融資を受ける際に大きなハードルとなるのが自己資金の要件です。
自己資金がない場合、融資を受けられる可能性は非常に低くなり、
多くの方が、創業融資を検討する際に自己資金の問題で悩んでいます。

その自己資金の要件が現在の1/3から1/10に下げられ、
さらに、上記※の箇所に「一定期間の勤務経験を有する者等は
同要件を適用しない。」とあるように、一定の勤務経験のある
分野での創業の場合は、自己資金の要件がなくなる方向のようです。

これは、これまで多くの方が悩んでいたハードルが大幅に下げられる
ことになりますので、嬉しい要件緩和ではないでしょうか。

自己資金のハードルを超えられずに、申込みすら出来ないという方も
多いですが、要件緩和により、まずは土俵に上がれるということに
なりますので、チャンスが広がります。

ただし、実際の融資審査の現場において、本当に自己資金について
見る目が緩くなるのかと言えば、やはり自己資金は重要な審査項目
となると個人的には予想しています。

実績のない創業者を審査する上で、自己資金の有無及び金額は、
その方の計画性や覚悟を読み取る数少ない要素だからです。

表面的な要件で安心せずに、やはり、創業を考える際には、
自己資金をきちんと用意するように心がける必要があると思います。

何よりも、ご自身のためにそうすべきでしょう。

この内容については、引き続き情報を追って、
改めて皆さんにご案内いたします。

その他の創業支援関連制度については、下記の通り拡充されて
いますので、ぜひ目を通してみてください。
http://www.meti.go.jp/press/2013/12/20131213004/20131213004-9.pdf

一部を下記に記載しておきます。

○女性・若者/シニア起業家支援資金
※創業を行う女性・若者/シニアに対する支援制度です。

貸付対象:新規開業して概ね5年以内の者→7年以内の者
貸付利率:基準金利(運転資金)→特別利率

○新規開業資金
※経験を活かし新たに事業を始める方に対する融資制度

・貸付対象:新規開業して概ね5年以内の者→7年以内の者
・補助金の交付を受けて開発した技術を利用して行う事業→補助金
 の交付決定を受けた者
・貸付利率:
 (1)地方公共団体の補助金を受けて社会性を有する事業を
    行う者または認定特定非営利活動法人等は特別利率
 (2)認定商店街活性化事業計画を作成した商店街振興組合等が
    運営する商店街事業において事業を新たに営もうとする者
    又は営んでいる者は特別利率
 (3)保育サービス事業や介護サービス事業者は特別利率

○再挑戦支援資金
※再挑戦を行う起業家向け融資制度です。

・貸付対象:新規開業して概ね5年以内の者→7年以内の者
・貸付限度額(国民のみ):2千万円→7千2百万円(うち運転資金
             4千8百万円)
・貸付期間:(設備資金)15年→15年(特に必要な場合20年)
・貸付利率:基準金利→基準金利。以下の場合は除く。
      ・女性・若者・シニア→特別利率
      ・技術・ノウハウ等に新規性が見られる設備資金→特別利率

本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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