Vol.201 高齢の代表者が倒れてしまったら。

配信日:2013年10月2日

高齢化が進む日本において、中小企業の社長も高齢化が進んでいます。

70代でバリバリの現役社長という方も多く、それはそれで、いつまでも
現役で頑張られていて素晴らしいことでもあります。

ただ、今後の自分のことと会社のことをきちんと考えていく必要性も
どんどん高まっていきます。

特に、二代目社長の会社などで、代表権が創業者である会長にあるような
事業承継を考える必要のある会社でよく話題となる問題であり、
私自身も、ちょうどその対応策を検討してる顧問先があります。

先日も下記のようなご質問を頂きました。

【質問】

大株主かつ代表取締役が倒れ、意識不明になり、株主総会で
決議できないので、新代表取締役の選任ができない状態において、
会社が新規融資を必要としている場合、代表者保証が取れませんが、
この場合は融資は無理となるのですか?取締役の保証でも大丈夫ですか?

【回答】

代表取締役が意識不明で、署名も押印もできない状態では、
金銭消費貸借契約ができません。
したがって、保証人の問題もそうですが、契約の問題で融資が
受けられない状態にあります。

また、その状態を知った銀行は、融資どころか
手形割引にも応じてくれなくなってしまう可能性もあります。

日常的に手形割引を利用して資金繰りをしている場合、
手形割引ができなくなると即資金繰り破綻につながり、
大変な問題となります。

代表取締役の選任は、株主総会ではなく取締役会によって
行われますので、すぐに代表取締役変更を行い、契約できる状態を作り、
何とか銀行に対応してもらうというのが現実的な流れです。
この際、銀行とよく相談しながら行うことも必要でしょう。

※取締役会非設置会社の場合は、定款により株主総会
若しくは取締役の互選により選任できます。
(会社法349条3項)

とは言え、大株主兼実質代表者である方が不在となって
銀行取引に影響がないのか、と言えば、影響はあります。

また、時間的余裕がない中で代表者変更を行い、
融資を受けるとなると、新たに代表者になる方の選定を
十分に検討できなかったり、融資実行を最優先するために
契約内容が不利なってしまうなど、様々な問題が発生し、
それに気付くのは、たいていはしばらく経ってからです。

そうならない為にも、高齢となった代表取締役は、
早い段階で事業承継を検討し、計画的に代表権を引き継いで
おく必要があります。

また、経済的混乱を防止するためにも保険による
リスクマネジメントもきちんと考えておく必要があります。

以上が、おおまかな回答です。

経営者が高齢化している今日、実際にこういったケースが
いつ起きてもおかしくないですよね。

ちなみに、資金調達方法としては、銀行融資ばかりではなく、
例えば、生命保険の契約者貸付を利用するという方法もありますが、
やはり、代表取締役が契約できる状態にないと貸付を行ってくれません。

では、株主、取締役が一人の場合はどうでしょう?
このような会社の社長が亡くなった場合は、すぐに相続手続きを
行って対応ということになりますが、時間的余裕がないと
非常に厳しいです。

以上のような事態が起こった場合の現実的な対応としては、
メインバンクとの関係性も大きく影響します。

その会社が銀行から見て重要な取引先という位置付けであれば、
いろいろな手を考えて、なんとか対応しようとしてくれますし、
関係性が悪い場合は、ドライに対応されてしまう可能性が高まります。

そういった意味でも普段からの銀行取引は重要ですね。

以上、ご参考となれば幸いです。

本記事は、赤沼慎太郎発行のメールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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