配信日:2013年8月7日
先月、東京スターを台湾の銀行が買収するという報道がありましたが、
今月は、東京都民銀行と八千代銀行が2014年秋の経営統合に向けた
交渉に入ったという報道が大々的にされましたね。
都民銀行と八千代銀行は、どちらの銀行も東京都に地盤を置く銀行ですが、
都民銀行の取引先は都内の中堅・中小企業が中心で、八千代銀行は都西部や
神奈川県の中小企業や個人事業者が中心ということで、相互補完が可能だと
見ているようです。
統合が実現すれば預金量は4兆4千億円となり、首都圏では
横浜銀行、千葉銀行などに次ぐ6位、全国では22位と、
首都圏の地銀・第二地銀では上位グループに入る見込みです。
いよいよ、地銀の再編が本格的に動く兆しが出てきました。
メガバンク(都市銀行)の再編は既にされ、かつては13行あった都市銀行も
現在は、3行(りそな銀行を入れれば4行)になりました。
一方、地方銀行編は、1990年に132行あり、現在は105行に
減ったものの、メガバンクの再編に比べたら、ほとんど進んでません。
地銀のみならず信金もそうですが、リーマンショック、東日本大震災があり、
金融円滑化法の影響もあり、不良債権は相当なボリュームになっていますので、
抜本的な改善を行う上で、合併をしていくのは自然な流れとも言えます。
そういった流れの中、中小企業はどのように対応していくべきでしょうか。
例えば、東京三菱銀行とUFJ銀行が合併して三菱東京UFJ銀行になった際、
取引していた企業への影響はどうだったと思いますか?
この合併は、三菱東京フィナンシャル・グループがUFJホールディングスを
事実上の救済合併を行い、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が
誕生しました。
その後、東京三菱銀行とUFJ銀行が合併し、三菱東京UFJ銀行になった
という経緯です。
つまり、UFJ銀行は救済された側ですので、パワーバランス的には劣位です。
東海エリアを中心にUFJ銀行をメインとした中小企業はたくさんありましたが、
当時の資金調達には多大な悪影響があったと聞いています。
財務状態が優良な企業はそれほどではなかったようですが、
事務状態が良くなかった企業は、融資がストップするなど大変な苦労をしました。
一方で、東京三菱銀行と付き合っていた企業は、UFJ銀行と付き合っていた
企業に比べて、影響は少なかったとのことです。
つまり、何が言いたいのか。
現在の取引銀行の財務状態をきちんと把握し、万が一、吸収される側に
なりそうな銀行(信金)と付き合っている場合は、対策が急務である
という事です。
UFJ銀行がメインバンクであった企業が苦労したように、
今後は、自社がそのような境遇に合う危険性が高いということなのですから。
そもそも、規模の小さい金融機関は、いざという時の耐性が弱いです。
不良債権に耐えうる金額も小さいので、銀行都合で動かざるを得ません。
そういった意味でも、
・ただ単に近くに支店があるから。
・たまたま、営業に来た銀行と取引した。
・なんとなく付き合ってる。
といったような、適当なお付き合いは今後において大きなリスクになり得ます。
ぜひ一度、自社の取引金融機関を振り返って、
金融機関が取引企業を見極めるように、逆に取引銀行を
見極めて取引をしていくように心がけてほしいと思います。
本記事は、赤沼慎太郎発行のメールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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