Vol.194 借入の一括弁済の判断

配信日:2013年7月2日

先日、こんなご質問をお受けしました。

『ここ最近、売り上げが減少気味で資金繰りが厳しくなってきました。
現在、何本かある借入のうちの一本が残高400万円程度となっており、
利息負担を減らしたいので、来月入るまとまった売掛入金で一括弁済を
しようと思います。どうでしょうか?』

というご質問です。

利息負担が重いから借入を減らして軽くしたい。という想いは、
大なり小なり、多くの経営者が感じていることかと思います。

しかし、上記のご質問内容は、結論から言えば、間違った判断だと
言わざるを得ません。

なぜなら、損益、資金繰りが悪化傾向にある中、一括弁済を行って
手元資金を減らしてしまうことは、非常に危険だからです。

もし、一括弁済後に資金繰りがさらに厳しくなって銀行に融資を
申込んだとして、貸してくれる保証はありません。
むしろ、財務が悪化している中、貸してくれる可能性の方が低いと
考えるべきでしょう。

それならば、まとまった入金は経営改善の活動資金として
使う方が有効であり、今後の経営においてもプラスになるはずです。

400万円程度の借入を減らしても年間の利息軽減額は10万円前後です。
事業規模にもよりますが、法人にとって10万円前後の金額は大きくありません。
その程度の利息軽減をしてもそれほど経営改善の効果はないでしょう。

過度な利息負担は経営を圧迫しますが、適度なボリューム(月商の
3か月程度)の借入があり、それに対する利息負担であれば健全です。

手元資金として月商の1~3か月程度持ちながら経営をされる方が
精神衛生上プラスであり、資金繰りに追われずに経営ができる環境を
作ることを目指すべきです。

上記のご質問の内容はシンプルなので、熟練の経営者なら
そんなこと当たり前だ。とすぐ気付くかと思いますが、
状況が少し変わるとそうでもありません。
結果的に似たような判断をされるケースも散見されます。
ぜひ、冷静に判断されるように気を付けて下さい。

本記事は、赤沼慎太郎発行のメールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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