Vol.199 金融検査方針の見直しについて

配信日:2013年9月4日

今、大人気のドラマ「半沢直樹」ですが、
視聴率が30%超えと絶好調ですね。私も毎週見ています。

私の顧問先の社長さんも見ている人が多いです。
経営者としては、銀行内部がよくわかる
このドラマは興味深いのでしょうね。

先週は、主人公の半沢直樹の勤める銀行に金融庁検査が入り、
金融検査官とのバトルが繰り広げられてましたね。

実際、元銀行支店長さんなどに聞くと、金融庁検査は、
本当に胃が痛くなるそうです。。。^^;

銀行は、融資先を査定(自己査定)し、ランク付けして
ランクに応じて貸倒引当金を積みますが、金融庁検査で
「査定が甘い!」と指摘され、ランクを下げられてしまうと
貸倒引当金をさらに積み増ししなければならず、銀行の財務が
悪化します。

最悪の事態では、ドラマでも言っているように銀行が
破綻に追い込まれてしまいます。

実際、UFJ銀行は金融庁検査で多額の不良債権の処理不足が指摘され、
不良債権処理により巨額の赤字決算となったことが東京三菱銀行との
合併に繋がっていく原因となります。

このように、金融庁というのは、銀行にとって最も恐ろしい存在と
言えるのでしょう。

さて、その金融庁検査に関わる報道が8月にされました。

内容は、金融庁による金融検査方針を見直し、
融資先の査定を銀行に委ねていく方針とするというものです。

お盆の時期(17日の日経新聞)でしたので、見逃している方も
多いかもしれません。

バブルが崩壊した後、銀行は巨額の不良債権を抱え、経営破綻するなど、
大きな混乱が生じたのは、みなさんもご存じの通りです。

銀行がバブル期に甘い査定で不動産融資を行ったことが混乱を
大きくした大きな要因でした。

その反省から、金融監督庁(現金融庁)が発足し、
金融検査マニュアルが策定され、銀行の自己査定を厳しくするように促し、
不良債権の処理を目的とした検査を強化してきました。

その効果もあって、ようやく不良債権の処理にメドがついてきています。
しかし一方で、厳しい金融庁の検査に銀行が委縮し、リスクを取った融資を
しづらくなり、積極的な融資がされないと言った現象が目立っています。

そこで、もっと銀行が独自の裁量で融資先を査定し、柔軟な融資を
することができるよう、これまでのように金融検査マニュアルに
基づいた画一的な検査をやめ、銀行裁量の部分を大きくしていくという、
今回の方針転換につながったようです。

これにより、創業期に赤字が続くベンチャー企業や過去の開発投資などで
赤字になっている技術力のある企業などが、将来的な展望や成長力、
経営改善の可能性など、その会社の実態を銀行がきちんと把握して、
問題がないと判断すれば、新規融資を実行できる可能性が高まってきます。

もちろん、これには銀行の目利き力が欠かせませんので、
制度が変わるだけで実現することではないのですが、
銀行がリスクをとりやすくなること自体は、企業が融資を受けやすく
なりますので、経済の活性化に繋がることが期待できます。

この方針見直しを、秋に3メガバンクから適用を始め、
地方銀行・第二地方銀行にも順次広げていくそうです。

バブル崩壊後、長らく続いてきた体制が大きく変わるので、
今後の銀行の動向はますます注目度が高まってきました。

今後、これらの情報について、引き続き注目していき、
メルマガ『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
でも共有していきます。

本記事は、赤沼慎太郎発行のメールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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