Vol.337 粉飾決算の恐ろしさ

配信日:2020年1月15日

配信日:2020年1月15日

 

ここ最近、粉飾決算が原因で倒産した件数の増加や
粉飾決算の発覚が増加しているとの話題が多くなっています。

 

東京商工リサーチによると、2019年1月-10月における
「粉飾決算」倒産は前年同期の2倍に急増とのことです。

 

ここでいう粉飾決算とは、企業が融資を受け易くするために
実際の売上よりも多くしたり、赤字を黒字にしたりして、
財務内容が良くなるように操作することです。

 

私は、これまでに多くの中小企業の財務について
ご相談を受け、決算書もたくさん見てきました。

 

実際のところ、故意、悪意の具合は様々ですが、
粉飾してしまっている会社は相当数あります。

 

ひどいケースでは年商5千万円の会社が5億円に粉飾して
1億円の融資を受けたという話も聞いたことがあります。

 

また、取引銀行ごとに違う決算書を作成し、
提出先の銀行から借りている金額は正しく記載し、
それ以外の金融機関からの借入残高をごまかして、
負債総額を実際よりも少なく見せていたという
ケースもよくあります。

 

お間抜けなお話ですが、このような粉飾をしていた
社長がうっかりテレコで金融機関に提出してしまって
粉飾が発覚して大問題になったという例もありました。

 

それで困ってご相談に見えたのですが、
その後の金融機関からの信頼回復は本当に大変なものでした。

 

このような話は、ある意味、我々からすると
あるある的なもので、同業者の多くはこうしたケースを
普通に見たり聞いたりしていると思います。

 

では、金融機関はその粉飾に気付かないものかといえば、
怪しさには気付いても具体的なところまではわかりません。

 

銀行員の方に聞いても、実際のところ確証を得ることは
難しいと皆さんおっしゃいます。

 

また、発覚するとややこしいことになるので、
よほどのケースではなければ、あまり深く追及することも
ないようです。

 

粉飾決算というのは、やるのは簡単なことです。
しかし、それを元に正すことは大変なことです。

 

一度、粉飾に手を染めてしまうと、その後どんどんと
粉飾の度合いが大きくなり、収拾がつかなくなります。

 

また、粉飾しているとどうしても矛盾点が生じるので、
金融機関への説明もとても難しくなります。

 

矛盾点を突かれないように、説明内容を入念にチェックし、
昨年の説明との繋がりもしっかりするようにと注意深く
対応しなければならないなど、無駄な作業が発生します。

 

そして、自社の本当の姿が分からなくなり、
どこをどうすれば改善できるのかもわからなくなります。

 

粉飾決算をしてしまうきっかけは、融資を受けたいという
理由以外にも入札参加のためや取引先の与信管理の関係など
色々な理由がありますし、社長もしたくてやっているわけ
ではないことも多いと思います。

 

しかし、一度手を出してしまうと、本当に大変なので、
悪魔のささやきに負けずに経営して頂きたいと思います。

 

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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン
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から記事を一部抜粋したものです。
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