Vol.330 ラグビー日本代表に学ぶチーム作り

配信日:2019年10月22日

配信日:2019年10月22日

 

今回のラグビーW杯は、日本開催と日本代表の大活躍で
これまでにない盛り上がりですね。

 

日本代表は、先日の南アフリカ戦に惜しくも敗戦し、
日本代表のW杯は終わりましたが、大会としてはこれから
準決勝、決勝と盛り上がりのピークになります。

 

私は、まさに今はやりの「にわかファン」ですが、
ラグビー日本代表の活躍には本当に感動しました。

 

それにしても、日本代表がなぜこんなに強くなったのか。
もちろん、選手一人一人が大変な努力をした結果ですが、
調べてみますと、前代表ヘッドコーチ(HC)のエディー・ジョーンズ氏と
現代表HCのジェイミー・ジョセフ氏の功績が大きいようです。

 

前HCのエディー・ジョーンズ氏は、強いチーム作りのため、
「世界で勝てるチーム」、「日本ラグビーの歴史を変える」
という目標をまず設定し、「やろうとしていること」、
「どうやってやるか」、「どういうチームにするのか」
ということをチーム全員に理解させたそうです。

 

そして、メンバー個人がその目標を達成するために
「自分の役割は何か」、「どう役割を果たすか」という
ところまで落とし込んでいったそうです。

 

目標を明確にするということが、個々の能力を目一杯
引き出す大きな動機づけとなったのですね。

 

その成果で前回のW杯では、「ブライトンの奇跡」、
「史上最大の番狂わせ」と言われる南アフリカに
逆転勝利を果たしました。

 

さらに、前HCエディー氏の指導は、言動や服装にも厳しい
規律を課し、「時間厳守」「5分前行動」といった基本的で
細かいことを徹底する管理型のチーム作りだったそうです。

 

この徹底した管理は、個々の自主性という面では多少の
弊害があったと言われていますが、こうした基礎がしっかり
できていたからこそ、次の代表HCジェイミー・ジョセフ氏
になってさらに飛躍できたのではないかと思います。

 

しかし、チームが変わって、当初はかなり難しい状況に
あったようです。

 

現HCジェイミー・ジョセフ氏は、日本代表がさらに
飛躍するために、これまでの管理型のチーム作りから
自主性を重んじる方針に変革させる必要を感じていましたが、
この方針転換の過程で選手とはたくさんぶつかったようです。

 

人間は、変化に対して抵抗する生き物だと言われますが、
これまでのやり方を変える場面では、これが如実に出ます。

 

ジェイミー氏は、自分の考えを押し付けるのではなく、
様々な努力を重ね、選手の声に耳を傾け、選手だけの
ミーティングを増やすなど、日本代表チームを自分たちで
作っていくという意識で結束を高めていきました。

 

ジェイミー氏は、大学で心理学も学んだようで、
その経験も生きているそうです。

 

結果的に「ONE TEAM」を合言葉に、文化も考え方も違う
7カ国の出身選手のいる多国籍な日本代表チームを一つに
まとめ、意識を高め、同じ目標を持って努力したことで
史上初のベスト8を達成しました。

 

これは、会社というチームを作っている社長にも大いに
参考となることでしょう。

 

国際化が進み、外国人社員も珍しくなくなってきている今、
日本人だけの会社でも組織づくりはとても難しいですが、
社長がどういったビジョンを持ち、それを社員に浸透させ、
同じ目標に向かっていけるか。

 

前HCのエディー氏は、チームに最も大切なのは、
チームとしてのアイデンティティやカルチャーを作ることだ。
と言っています。

 

アイデンティティとは、個性や自分らしさという意味ですが、
会社で言えば、その会社の独自性や差別化ポイントといった
ところでしょうか。カルチャーとは、文化ですね。

 

これらを明確に、つまり企業文化や企業理念を明確にして
いない会社も多いですが、今一度、自社のアイデンティティ
やカルチャーは何か?ということを見つめ直してみては
いかがでしょうか。

 

そして、それを全社員で共有して目標を一致させることが
何よりも重要です。社員への浸透、共有ができずに頓挫して
しまうというケースが多く、そのため、これらは意味がない
と結論付けてしまう社長さんが多いですが、結果を出して
いる会社は、浸透と共有に時間と努力を重ねています。

 

チームの指揮官であるHCの熱意と指導の努力がチームを
強豪国に勝たせるように、会社の指揮官である社長の熱意と
努力が良い会社にしていくのだと思います。

 

それでは、次回もよろしくお願い致します。

 

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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン
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