Vol.304 ミッキーハウスの横領事件から学ぶ

配信日:2018年11月14日

 

最近、ワイドショーをにぎわせている、経理の女性が会社のお金を横領して、
大好きなミッキーマウスをたくさんあしらった、通称「ミッキーハウス」と
呼ばれる戸建まで建ててしまったというニュース。

 

被害に遭ったのは、売上20~30億円くらいの土木工事会社さん。
その被害額は、当社の社長によると5億円にも上る巨額の横領のようです。
※検察では2,550万円の着服で再逮捕という状況です。

 

17年間に渡り、経理を操作して億の単位で着服したということですが、
これは、ワイドショーで見るびっくりニュースの他人事の話ではなく、
実際の中小企業の現場では、比較的よくある事件だったりします。
さすがにここまでの額は、私も経験ありませんが。

 

実際に、今回の事件とよく似たケースで、経理の方が10年くらいの期間で、
調べで分かった範囲だけでも2,000万円以上横領してたというケースがありました。
そのお金はどこに消えたかと言えば、やはり、ブランドものの購入や
海外旅行等で消えたとのこと。

 

手口は、仕入業者への支払額をごまかしたりと経理という立場を利用して
経理操作をして着服していました。
この会社は、仕入業者に現金で支払っていたので、かなり簡単に悪さができる
環境にありました。

 

売上不振とこの事件によるダブルパンチで資金繰りが悪化し、
経営改善のご相談に見えた会社でした。

 

この会社は、裁判で当然勝ちましたが、お金は戻ってきません。
返してもらう権利は得ても、本人が返せなければお金は戻ってこないのです。

 

社長が資金繰りに困って、右往左往していた横で、その状況を最もよく知る
経理担当者が私腹を肥やしていたということが分った時には、
社長も言葉も出ないほどの憤りでしょう。

 

その他にも、飲食業や小売業など現金を扱う業種の場合は、横領はつきもので、
現場のスタッフが売上金をごまかして数百万円の横領をしていた・・・。
などの話は本当によくある話です。

 

こういうケースで多い横領の手口は、レジ操作によるものです。
例えば、お会計をピッタリ払って、レシートをもらわずに帰っていく
お客様は多いと思います。

 

こういう時に、レジで「売上をキャンセル」するのです。
すると、そもそもこの取引がなかったことになりますので、
そのピッタリ頂いたお金をポケットに入れても、レジ金に誤差は
発生しない為、問題になりにくいのです。

 

これは、よくある手口で、似たようなケースをよく見聞きします。

 

この場合も、不正に気付いて、本人が認めたとしても、
そのお金をきっちり回収することはとても困難です。

 

数百万円のお金をすぐに返済できる人は、そういません。
毎月少しずつ返すと言ってもせいぜい3万~5万円が限界です。

 

例えば、600万円の横領事件で月5万円の返済とすれば120回払い。
実に、全額回収するまでに10年もかかります。
それでも、10年間で無事回収できれば良いですが、いつの間にか
その返済もされず、行方知れずになるというのが多いパターンでしょう。

 

このように、横領事件が発生してしまうと、回収が難しいのが現実です。

 

こういった事件を起こす犯人は、多くの場合、社長が信頼していた
長く会社に貢献してくれている経理担当者だったり店長だったりします。
経理を担当していた社長の奥さんが犯人なんてケースもありました。

 

信頼しているからこそ、あまり細かいところまでチェックもしていなかった
という事で長期間にもわたって発覚しないのです。

 

そして、本人たちは、長く会社にいることで、いろいろな会社のスキに
気付きます。こうすれば分らないな、気付かれないな、と。

 

こうした事件が発覚するきっかけとして多いのは、
税務署による「税務調査」です。

 

調査官が帳簿を調べていると、どうにも変な経理がある。ということで
詳細に調べてみると、横領事件があった。というのが多いです。

 

横領事件は、当たり前ですが、大きなダメージです。
そして、それが発覚しても、結局回収は極めて困難です。

 

横領事件を未然に防ぐ為に、日々のチェックの仕組みを作ることと、
不正が出来ない環境を作ることが重要です。

 

そして、もし横領があってもすぐに気付く仕組みが必要です。
その一つが資金繰り管理です。

 

常に資金繰りをウォッチしていれば、おかしな出金に気付きます。
仕入代や消耗品等の経費の金額が見込みよりもずいぶんと多い。
となれば、なぜ多いのか確認します。その段階で気付くでしょう。

 

また、売上が減っているのに、原材料の仕入れは変わっていない。
となれば、その原因を探っている過程で、売上金の操作、若しくは仕入代の
操作に気付きます。

 

このように、資金繰り管理をしていれば、お金の不正に気付きやすくなるのです。

 

実際、今回の事件の社長も、経理の女性を信頼しきっていて、そこら辺の
チェックをしていなかったことが長年の不正に気付かなかった最大の原因と言えます。

 

そういう意味では、社長は可哀そうではありますが、自分に責任があったとも
言えてしまいます。

 

「信頼しても信用するな」や「人を信じても仕事は信じるな」
という言葉があります。

 

何となく嫌な響きの言葉ではありますが、要はこういう事なのですね。

 

ぜひ、自社にはそんなことはありえない。と他人事と考えずに、
しっかりと不正が出来ない仕組みと不正に気付く仕組みを作ってください。
結果的に、社員もそれで救われます。

 

それでは、次回も宜しくお願い致します。

 

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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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