Vol.300 経営者が知っておくべき民法(相続関係)の改正点 その2

配信日:2018年8月29日

 

前回から民法の相続分野の改正について、会社経営に関係の深いであろう、
「遺留分制度」と「遺言制度」に関する部分をピックアップして解説しており、
前回は、「遺留分制度に関する見直し」についてお伝えしました。

 

あれからちょっと間が空いてしまいましたが、
今回は「遺言制度に関する見直し」についてお伝えします。

 

その前にちょっと今回の改正についておさらいしますと、
今回の見直しのメインテーマは「配偶者の生活の安定」です。
高齢化社会に対応し、残された配偶者の住居や生活資金を確保しやすくする
という事が主眼となっています。

 

本改正の骨子は以下の通りです。

1.配偶者の居住権を保護するための方策
2.遺産分割等に関する見直し
3.遺言制度に関する見直し
4.遺留分制度に関する見直し
5.相続の効力等に関する見直し
6.相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

なお、施行期日は原則として、公布日から1年以内に施行されることと
されていますが、遺言書の方式緩和については、平成31年1月13日から施行され、
配偶者の居住の権利については、公布日から2年以内に施行されることとされています。

 

それでは、遺言制度に関する見直しについてお伝えします。
会社経営者は、事業承継を考える上で、遺言は必須と言えますので、
ぜひ、基礎的な知識だけでも知っておいてください。

 

●遺言制度に関する見直し

遺言には、公正証書遺言や自筆証書遺言などがありますが、
今回は、自筆証書遺言に関する見直しがされました。

 

自筆証書遺言を作成する場合、全文自署する必要があります。
遺言本文だけでなく、財産目録も全て自署です。
これは、財産がたくさんある方は書くのが本当に大変です。

 

今回の改正では、この財産目録に関しては、パソコンで作成することが認められ、
通帳のコピーや不動産登記簿の添付もOKとなり、だいぶ負担が少なくなります。
(但し、財産目録の各頁に署名押印が必要です。)

 

また、自筆証書遺言は、自宅で保管することが多いため、
紛失してしまったり、相続人による破棄、隠匿、改ざんといったリスクがあります。

 

こういったリスクに対応すべく、今回の民法改正と同時に
「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立し、
法務局にて遺言書の保管制度が創設されました。

 

この制度を活用することで、紛失、破棄、隠匿、改ざんのリスクが防止できます。
さらに、法務局では、原本の他、データでも保存されるため、津波や川の氾濫などで
なくなってしまうリスクも回避できます。

 

そして、法務局に対し自筆証書遺言の保管制度を活用している場合には、
通常、自筆証書遺言に必要な「検認」が不要となります。

 

自筆証書遺言が見つかった場合、申立書と必要書類をそろえて、
家庭裁判所で検認しなければなりませんが、この検認手続きが不要となるので、
相続手続きの時間短縮が期待できます。

 

遺言書の保管制度の実効性を確保するため、遺言者の死亡届が提出されると、
遺言書の存在が相続人などに通知される仕組みもつくるようです。

 

このように、今回の民法改正と遺言書の保管制度の創設により、
自筆証書遺言の活用がしやすくなりましたので、今後、自筆証書遺言を
活用する方が増えることが想像できます。

 

ただし注意したいのは、自筆証書遺言は、専門家が関与しないで作成する
ケースが多いので、不備があって無効となるケースも散見されます。
特に会社経営者は、事業承継において、遺言作成は非常に重要ですので、
私個人的には公正証書遺言を利用する方が、専門家が関与するため
やはり安心だと思います。

 

せっかく、自分亡き後の事業承継と相続がスムーズに進むようにと作った
遺言が無効となり意味をなさなければ、自らの意思が実現されないことも
あり得ますし、そういったケースは結構多くあります。ご注意ください。

 

ぜひ、経営者の皆さまは今回の法改正の内容を知り、事業の円滑な承継を
考える上でも早い段階で遺言の作成をされることをお勧めします。

 

弊社では、事業承継支援の一つとして、経営者の遺言作成支援も
行っておりますので、いつでもご相談ください。

ご相談はお問合せフォームからお願いいたします。

 

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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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