Vol.284 事業承継はなぜ進まないのか

配信日:2017年11月8日

配信日:2017年11月8日

 

最近は、新聞を読んでいても「事業承継」に関する記事を目にすることが多く、
ほぼ毎日、事業承継に関する何かしらの記事が掲載されていますね。

 

現実的にも中小企業の経営者の高齢化は進み、後継者不足は深刻になっています。

 

ご存知の通り、日本経済を支えているのは、中小企業です。
雇用の約7割は中小企業が支えており、日本を代表し、世界で活躍する大企業を
影ながら支えているのも中小企業です。

 

しかし、経営者の高齢化は極めて深刻でして、2025年には6割以上の中小企業で
経営者が70歳を超えるそうです。

 

そして、深後継者不足が問題をさらに深刻にしています。
後継者がいないために、優良な中小企業が廃業に追い込まれているという記事は、
皆さんも目にしているのではないでしょうか。

 

経産省によると、後継者が決まっていない企業は127万社あるとの試算だそうです。

 

中小企業の数は、約380万社ですので、127万社とは、その約3分の1にあたる数です。
極端な話、3分の1の中小企業が後継者不在により廃業の危機にあるという事になります。

 

このように、中小企業の事業承継問題は、とっても深刻な状況ですが、
なぜ、これほど問題視され、新聞では毎日のように記事が掲載されているのに、
事業承継は進まないのでしょう。

 

もちろん、いろいろな理由があると思いますが、一つは、
多くの中小企業がなんとなく「他人事」的に感じていることが大きいような
気がしています。

 

社長さんたち個々に聞けば、もちろん他人事ではないと認識されていますが、
行動を見ればやはり他人事のように遅々として対策が進んでいません。

 

進まない理由は、相続の問題のように、何となく、自分亡き後の話のように感じ、
自ら積極的に準備を進めていないという事が挙げられます。

 

そして、そもそも「事業承継」といっても何をすれば良いか分らない。
分らないから、はじめの一歩が出ない。といった理由も大きいでしょう。

 

事業承継は、後継者が決まっていた場合でも最低5年は準備が必要です。
もし、後継者が決まっていなければ、後継者探しからですので、さらに時間が
掛かります。

 

事業承継を進める上で、まずやるべきことは、自社の現状把握、
事業価値の測定、後継者が社長となる為に必要な資質、能力を明確にし、
客観的に評価できる体制を作らなければなりません。

 

そもそも経営計画がない場合は、それも作らなければ引継ぎができません。
経営理念も明確にしなければ、一本芯の通った会社としてスムーズに承継できません。
そして、これらを現社長、後継者、経営幹部で共有できていなければ、
ちぐはぐな状況となります。

 

このように、事業承継、特に経営を承継するためには、やること山盛りです。
こうして一気に羅列すると、もうお腹一杯で、思考停止・・・。となってしまう
社長さんも多くいらっしゃいますが、惰性で行う事業承継は、後継者を地獄へ
送り出すことになりかねません。

 

実際に、長男だという理由のみで、経営理念も価値観も共有せずに
社員との信頼関係も築かずに惰性で承継した結果、その会社でやりたい事も
はっきりせず、居場所もなく、責任と資金繰りのプレッシャーに嫌になり、
突然失踪してしまった社長さんのお話を聞いたことがあります。

 

次の世代がさらに自社を発展させて行けるためにも、引継ぎをしっかりする事が
肝要です。そして、後継者の方々も、先代の言うままに受け身で承継するのではなく、
自ら能動的に動かなければ、後から後悔することになります。

 

弊社では、事業承継のご支援、後継者の育成支援を積極的に行っています。
何となく不安に思っている会社さんは、まずは現状の整理から始めると
考えがすっきりしてきます。

 

いつでもご相談ください。

 

========================================
本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
メルマガの購読はこちらからお申込み頂けます。