Vol.270 地銀再編で中小企業はどうなるか

配信日:2017年3月14日

先日、関西の地銀である、関西アーバン銀行・みなと銀行・近畿大阪銀行が
経営統合することで基本合意したことが発表されましたね。

 

その一週間ほど前には、三重県の地銀である三重銀行と第三銀行が経営統合で
基本合意をしたとの発表がありました。

 

立て続けに関西圏の地銀再編の報道がされました。

 

ちなみに、関西アーバン銀行と近畿大阪銀行は大阪府に本店を置く地銀、
みなと銀行は、兵庫県に本店を置く地銀です。
関西アーバン銀行については、滋賀県のびわこ銀行と合併している関係で、
滋賀県内にも多くの取引先を抱えます。

 

地銀の再編はもう何年も前から議論されていることですが、一通り再編が済んだ
都市銀行(メガバンク)を除く、地銀、信金の再編は今後もどんどん進んで行くことでしょう。

 

そうなると、中小企業の影響についてはどうなのか?

 

といった話題がよくあがりますが、よく言われることの一つに再編によって
金融機関の数が減る為、取引する銀行の選択肢が減り、中小企業にとっては、
必ずしもプラスではない。と言った意見があります。

 

たしかに、あまり金融機関が多すぎるのも問題なのでしょうが、
利用者である中小企業にとっては取引銀行の選択肢が減ることはマイナスです。

 

例えば、これまで3行の金融機関と融資取引があり、そのうちの2行が
合併するという事態が起きた場合、せっかく融資取引を分散して
バランスを考えていたのに、取引行は3行から2行となり、場合によっては、
合併した銀行に融資残高の大部分が偏るといったことも起きかねません。

 

ちなみに、今回の関西アーバン銀行・みなと銀行・近畿大阪銀行の件で言えば、
東京商工リサーチの調査によると、3行がメインバンクとなっている取引先企業は、
合計2万3千社弱に上るようですが、それぞれの銀行の地盤がどっぷり重なっている
わけではなく、また地元密着の体制を構築していることから、3行全てと取引している
企業はわずか66社、3行のうち2行と取引している企業もそれほど多くなかったようで、
重複先は少ないようです。

 

3月7日の日経新聞の記事にありましたが、金融庁は、「顧客の利益」を重要な
要素に位置づけ、再編が銀行の都合に偏り、顧客への配慮が後回しにならないように
地銀の再編に対して初めて指針を打ち出すようです。

 

地銀の再編は、銀行の経営基盤の強化を目的としていることから、経費削減や
業務効率化で健全性を高めるといった銀行都合となる傾向にあります。

 

その結果、利用者である中小企業に悪影響が出てしまっては本末転倒です。

 

そこで、再編で生まれる原資を利用者の利便性や顧客企業の価値向上に充てる
といった「顧客の視点」を金融庁は求めています。

 

実際に、今春予定されていた長崎県の十八銀行とふくおかフィナンシャルグループ(FG)の
経営統合は、再編により長崎県内の中小企業者等の利用者に不利益がある可能性を
懸念して、公正取引委員会の審査が難航し、統合が延期されています。

 

長崎県内に本店を置く地銀と信金は、十八銀行と親和銀行、そして大きく
県内シェアを離されて長崎銀行とたちばな信金の合計で4つしかありません。

 

親和銀行はすでにふくおかFGの傘下であり、今回十八銀行がふくおかFG傘下に
なったら、この2行を合併させるというシナリオです。

 

実現すると、長崎県内には、一つの大きな地銀と、小さな地銀と信金という体制になり、
県内の信組や外様の金融機関を含めても融資シェアは、7割になるそうです。

 

長崎県の中小企業者は、ただでさえ、選択肢が多いわけではなかったところに、
さらに融資取引をする選択肢が減ってしまうことになります。
これは、間違いなく大きなインパクトとなるでしょう。
公取委の審査が難航するのも頷けます。

 

金融機関の選択肢が減ることが、デメリットになるのか?
と、疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

例えば、つい最近、顧問先のお客様が新規の融資を受けたのですが、
その際には取引銀行間で融資の獲得競争を促す形を作ることで、
好条件でプロパー融資を受けることができました。

 

このように競争原理を上手に利用することは銀行取引テクニックの一つですが、
競争原理がなくなってしまったら、やはりデメリットだと言えるでしょう。

 

しかし、この再編の流れは今後一層強まり、選択肢も減っていくと予想されます。
そのような中、中小企業として意識しておきたいのは、食われる側の銀行ではなく、
食う側の銀行と取引をしておくことです。

 

ここら辺については、また機会を改めてお伝えしたいと思います。

 
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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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