Vol.267 信用保証制度の見直し

配信日:2017年1月18日

このメルマガでは、何度も信用保証協会について書いてきたので、
今さら説明することもないかもしれませんが、中小企業が銀行や信金から
融資を受ける上で、信用保証協会という存在はとても大きいものです。
 
中小企業、特に小規模企業の多くは、信用力が乏しい傾向にあり、
信用保証協会から信用保証をしてもらって銀行から融資を受けます。
万が一、返済が滞った際には、信用保証協会が代位弁済をしてくれるので、
銀行は融資をしやすくなります。
 
中小企業の約3分の1が信用保証協会を利用しており、中小企業向けの
融資残高約250兆円のうち、保証付きのものは約1割だそうです。
 
1割と言うと、意外と少ない割合に感じますが、小規模企業に限って見れば、
大部分が保証付き融資での対応というイメージかと思います。
 
社長さんとお話していると、たくさん保証料を取ってるんだから、
保証協会も儲かってるでしょ!と言われる社長もいらっしゃいますが、
実は、信用保証協会の財政は非常に厳しい状態にあります。
(※ 厳密に言えば、日本公庫が再保険する信用保険制度も含めた
「信用補完制度」としては、とても厳しい財政状態です。)
 
厳しい財政現状ですが、今後も安定的に維持継続していくために
制度の見直しが必要であり、一昨年辺りからその検討されていましたが、
昨年12月26日に「中小企業・小規模事業者の事業の発展を支える
持続可能な信用補完制度の確立に向けて」という資料が公表され、
信用保証制度の見直し案の概要が示されました。
 
今度の通常国会で関連法の改正案が提出される見込みです。
 
見直しの議論の中では、現在の保証割合(80%)をもっと下げることや
企業のライフステージ(創業・成長・再生・撤退等)ごとに変える案なども
議論されたようですが、とりあえずは8割保証を継続する方針のようです。
 
その上で、企業のライフステージに応じて、その中で直面する様々なリスクを
カバーしつつ、中小企業が円滑に資金調達をできるような保証制度としていく
イメージを持っているようです。
 
ざっくり言うと、創業期や再生期であったり、小規模事業者向け融資など、
いわゆるリスクの高いステージに対しては、保証制度を拡充する一方で、
成長発展していく拡大期においては、保証制度を活用しながらも、金融機関がリスクを
積極的に取ってプロパー融資での対応を増やすようにしていくといった感じです。
 
銀行や信金には、保証付き融資にばかり頼らずにプロパー融資をしっかり実行し、
その為にも、事業性評価のノウハウを高めていくことを求めるものと思われます。
 
信用保証制度は、中小企業にとっても金融機関にとっても有意義な制度ですが、
一方で、それに依存しすぎて、中小企業も金融機関も本来すべき経営努力を怠っている
という負の面があるのも事実です。
 
今回の改正によりその部分を是正していくという事でしょう。
 
以下、資料を基に簡単にまとめておきます。
 
●創業期
基礎情報の不在等によりリスク判定が困難な中でも資金供給を可能とし、
多くの創業チャレンジを促すべく、創業者が手元資金なく100%保証を
受けられる限度額を拡充する。(1,000万円→2,000万円)
 
●拡大期
・保証協会と金融機関の連携(リスク分担)を通じた中小企業の経営改善・生産性向上。
・金融機関が、保証を通じて必要十分な信用供与を行いつつ、事業を評価した融資を行い、
その後も適切な期中管理・経営支援を実施することを促す。
・保証付き融資とプロパー融資を適切に組み合わせるリスク分担を行う。
 
●持続的発展
特に資力に乏しく取引先の受注減等の突発的な事象により経営が急変する
小規模事業者の持続的発展を支えるため、小口向けの100%保証を拡充する。
(1,250万円→2,000万円)
 
●危機時
・セーフティネット保証による副作用の抑制と大規模な経済危機等への備え
・大規模な経済危機等の事態に際して、適用期限を原則1年とするなど予め区切って
迅速に発動できる新たなセーフティネット制度を整備する(別枠・100%保証)
・セーフティネット5号(不況業種に属する中小企業者の支援措置)については、
金融機関の支援の下で経営改善や事業転換等が促されるよう保証割合を一律80%に改正する。
 
●事業承継
事業承継を一層促進するため、後継者が株式取得等に必要となる資金を円滑に
調達できるよう保証メニューを充実させる。
 
●再生期
<経営改善・事業再生の促進>
・経営改善・事業再生を促す保証メニューを充実させるとともに、抜本再生の
円滑化 (求償権放棄条例の整備等)を進める。
・必要に応じて、保証協会も経営支援を実施すべく機能強化を図る。
 
<再チャレンジ支援>
・経営者保証ガイドラインの運用開始から一定期間が経過したところ、
保証制度における運用を見直すこと等により、失敗した場合にも再チャレンジ
しやすく、思い切った設備投資・事業拡大ができる環境を整備する。
 
<円滑な撤退支援>
・経営者が撤退を決断する場合にまず必要となる資金(買掛金処理、原状復帰費用等の
つなぎ資金)の調達が円滑に行えるよう、保証メニューを充実させる。
 
●地方創生への貢献等
・保証協会が地方創生に一層の貢献を果たすべく、地域の資金需要に応えるための
保証メニューの拡充や、再生ファンド以外のファンドに対しても出資ができるように
するための措置を講じる。
・保証協会と金融機関のリスクシェアを始めとする今般の各種制度改正の効果を
十分に検証した上で、中小企業の経営改善に一層繋げる等の観点から保証料率・
保険料率の在り方についても検討を進める。
 
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本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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