Vol.243 マイナンバー制度が資金繰りに与える影響とは?

配信日:2015年8月20日

2016年1月から運用が開始される「マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)」
ですが、今年の10月から、全国民一人一人に、ナンバーの書かれた「通知カード」が
送られる予定となっています。

ところが、準備が間に合っていない。郵便局員が足りずに配達できない。。。
などなど、様々な問題・課題があるようですね。

まさに、マイナンバーパニック。

郵送される時期は、普通の郵便物が遅配されるなどの問題も起こりそうですね。

一方で、マイナンバー制度の導入をビジネスチャンスと捉えて、
一攫千金を狙っている会社もあります。

いたるところで関連セミナーや研修会が開かれて、どこも満員御礼状態と聞きます。

例えば、ITシステム開発業界は、マイナンバー管理システムの需要が当然に
発生するので大きなチャンスを迎えているでしょう。

また、導入に向けたコンサルティングなどでコンサルティング会社や
社会保険労務士事務所などもチャンスが広がりそうですね。

面白いところでは、金庫メーカーもチャンスになっているようです。

このように大きな制度変更は、混乱とビジネスチャンスを生むわけですが、
中小企業にとって大きなマイナスの問題があります。

もう気付いていらっしゃると思いますが、
社会保険料が与える資金繰りへの影響です。

マイナンバー制度の導入で社会保険(厚生年金、健康保険)に加入して
いない会社があぶり出され、未加入の会社には通知が届くことになるでしょう。

社会保険に未加入の場合、追徴と罰金があり、社会保険料を2年間遡って
追徴されます。
また、正当な理由が無く、法定の要件に該当するとき、6か月以下の懲役又は
50万円以下の罰金があります。(健康保険法第208条)

マイナンバー制度の導入で未加入が発覚したら、即追徴や罰金が
適用されわけではなく、まずは自ら加入手続きをすることを促すという
流れになると思いますが、マイナンバー制度がスタートしたら、
もう社会保険からは逃れられないと考えた方が良いでしょう。

中小企業には、社会保険未加入の会社や加入していても一部の社員のみと
なっているケースは多くあります。

このような会社は、本来払うべき社会保険料を払っていないわけですが、
その分、キャッシュリッチになっているわけではありません。
社会保険料を払っていなくても資金繰りは楽じゃない。という会社が
ほとんどです。

そんな状態の中で、社会保険料の負担が乗ったらどうなるでしょう。

おそらく、資金繰りが破たんし、倒産に追いやられる会社も多くあると
思われます。

私は、事業再生支援のコンサルティングをしているので、
資金繰りが楽じゃない会社さんを多く見てきていますが、
これは、本当に大変なことになると思っています。

社会保険(厚生年金、健康保険)の適用事業所は、株式会社などの
法人の事業所と従業員が常時5人以上いる個人事業所です。

ただし、個人事業で、農林漁業、サービス業であれば、
従業員が常時5人以上いても強制適用にはなりません。

つまり、社会保険に加入しなくても良いのです。

このルールを活用して、現在法人であり、社会保険に加入していない
会社で社会保険の加入で資金繰りが破たんする可能性の高い会社は、
法人である必要性が低い場合は、あえて個人事業になることで
社会保険に加入せずにすむことになります。(※)

※法人から個人事業へ移行する、いわゆる「個人成り」は、手続きに
専門知識を必要とする部分があります。お近くの専門家に相談の上
行うことをお勧めします。

中小零細企業の中には、法人である必要性が低い会社もあります。

そういった会社は、法人であることをやめ、個人事業になることも
一つの対応策です。

ところで、サービス業と一言で言ってもその範囲は広いですが、
具体的には何業がサービス業になるのでしょう?

先日、整骨院を経営している方からご相談を受けている際にも
この話が出てきたので、整骨院がサービス業に当てはまるのかどうかを
確認してみました。

整骨院(接骨院)は、医療業というカテゴリーとなり、残念ながら、
サービス業には当てはまらないため、個人事業になっても従業員が
常時5人以上いる場合は、強制適用となってしまうようです。

サービス業に当てはまる業種は、分りやすいところでは、
飲食業、理美容業、旅館業、クリーニング業などが当てはまります。
行政書士事務所や税理士事務所、弁護士事務所などの士業もそうです。

自分の行っている事業は、サービス業になるのか?と思われたら、
「日本標準産業分類」を参考にするとよいでしょう。

日本標準産業分類は、国が定める産業の分類です。

もしくは、直接、管轄の年金事務所に問い合わせると手っ取り早いですね。

社会保険料が重くのしかかり、その保険料が払えずに滞納状態になると
年金事務所から預金や不動産、保証金、売掛金などの換金しやすい資産を
差し押さえられるリスクが高まります。

実際、滞納が続くと差し押さえをしてきます。

差し押さえをされて、事業継続不能とならないように、
他人事とは思わずに、真剣に対応策を検討することをお勧めします。

本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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