Vol.242 注目すべき利益はどれでしょう?

配信日:2015年7月28日

お客様のご相談対応の際に決算書を拝見していると、たまに営業利益と
経常利益がマイナスなのに、特別利益として社長からの借入れ(役員借入金)を
返済免除にして債務免除益を立てて、当期純利益をプラスにしているケースを
見ることがあります。

私は、この処理にあまり意味があるとは思えません。

例えば、公共事業への入札をしているなどの事情がある場合は、
必要な処理である場合もありますが、銀行からの評価を高めよう
というのであれば、それは、ほとんど意味をなしません。

もちろん、当期純利益がプラスになることで、貸借対照表の純資産の部が増え、
自己資本比率が良化するのですが、金融機関は社長からの借入金はみなし資本金
として見てくれるので、結論はあまり変わらないのです。
(社長へ返済をしている場合は、みなし資本金にはなりません。)

融資審査における決算書のチェックポイントは、損益計算書においては、
営業利益と経常利益です。

最終利益である当期純利益ではありません。

営業利益は、本業である事業での利益を示し、経常利益は、支払利息など事業に
関する直接的な経費ではないものの、経常的に発生する費用や収益を加味した
経常的な利益を示します。

つまり、この二つの利益がその会社の稼ぐ力を示します。

一方、当期純利益は、不動産や有価証券などを売却したことによる利益や
損失など、その期だけに発生したものや、突発的な損失や利益を含むので、
その会社の本来的な稼ぐ力を示しているわけではありません。

したがって、当期純利益だけ見てもその会社の収益力を測るには参考にならないのです。

そういった理由から金融機関が重要視する利益は、営業利益と経常利益になります。

冒頭のように、この二つの利益が赤字で債務免除益という特別利益によって
最終黒字にしても融資審査においては、あまり意味がないということになります。

ちなみに、貸借対照表において最も重要な数字は、「純資産額」です。

純資産は、シンプルに言えば、資本金に毎期毎期の利益を積み上げた数字です。

銀行からいつでも融資を受けられる会社になるためには、毎年営業利益、経常利益を
黒字にした上で、最終利益を積み上げて純資産を増やしていくことが何よりも大切に
なります。

もちろん、こうして文章に書ことは簡単ですが、実際にそれを実現するには、
企業努力により、利益を出せる会社に成長させていく必要があるので、
簡単な事ではありませんが、シンプルにそういうことだと知っておくことが
大切なことです。

融資審査においては、決算書の数字が審査の8割を占めると言われています。

決算書がよい内容になるためには、当然、日々の経営努力が必要です。
しかし、せっかく経営努力をされていても、決算書を適当に処理してしまうと、
本来の会社の実力がきちんと表されないこともあります。

決算書を税理士さん任せにせずに、社長自らも興味を持って決算対策に
参加していただくと良いと思いますよ。

本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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