Vol.233 損切りの英断

配信日:2015年4月24日

複数の事業や店舗をもっている会社さんは中小企業にも多くあります。

事業再生のご支援をしていると、一部の事業や店舗が不採算の状況にあり、
赤字を垂れ流し、全体の損益を毀損しているケースが多くあります。

先日、見事に事業再生を遂げて、過去最高の経常利益1.5億円を出すまでに
改善した顧問先さんとお話をしていた際に、これらの不採算部門の損切りの判断が
いかに重要かという話題になりました。

その会社さんも私とお付き合いが始まったころは、いくつかの店舗で
大きな赤字を出しており、経営不振の要因の一つとなっていました。

経営改善計画を策定する中で、これらの店舗を撤退したり業態変更するなどの
対策を練り、見事に数年後に全店黒字化を達成したのですが、一店舗だけ、
社長の思い入れが強く、撤退せずにいました。

結果的に、最終的には引くこととなるのですが、その思い入れが
少なくとも1年以上復活を遅らせたと分析しています。

もちろん、そういった経緯もありながらも1.5億円もの経常利益を
出せるようになることは素晴らしく、取引銀行の支店長さんたちも
支店一番の再生事例だとおっしゃいます。

中小企業の多くは、良くも悪くも会社は社長の一部であり、
事業に投資した資金は、自らの資金を投じた感覚が強くあります。

そのような感覚の中、多額の資金を投資した事業や店舗の
収支が悪いからと言って、あっさりとは引けないでしょう。

これは、経験した社長さんでないと本当の気持ちは分らないと思います。
私自身、事業に何千万、何億もの資金を投下した経験がないので、
社長の本当の気持ちは分っていないと思います。

しかし、いくら思い入れが強く、多額の資金を投下した事業であっても
現実的に大きく赤字を出している状況で、その赤字を黒字にできる見込みが
高い確度で見えないのであれば、一刻も早く損切りの英断が必要です。

後ろ髪を引かれ、判断の先送りをしていては、その間に遠慮なく
資金は流出します。
他の事業で十分な黒字が出せているならば持ちこたえられますが、
ギリギリの収支である場合は、会社の存続の危機にもなってきます。

また、損切りの判断をしてから、実際に切り離しが完了するまでには
手続きなどの作業に時間がかかります。

損切りの判断してから3か月、6か月かかることもよくあります。

実際にその立場になれば、非常に苦しい決断をすることになると
思いますが、決断力と実行力が問われる極めて重要な局面です。

まさに、会社の盛衰の分水嶺とも言えるのではないでしょうか。

経営者の仕事は、判断の連続です。
損切りの判断は、未来を冷静に見極め、迅速な決断が肝要です。

そして、それ以前の問題として、このような判断を的確に行うためにも
日頃の財務管理が大切です。

部門別の損益管理をすることはもちろん、計画と実績を追いかけ、
資金繰りも見ていくということをしていないと、決断すべきタイミングに
気付かなかったり、判断に必要な情報が少なく決断ができないなどが
起こってしまいます。

ぜひ、財務管理は日頃からきちんと行う体制づくりを進めて
頂きたいと思います。