Vol.219 経営理念について

配信日:2014年6月5日

よく「経営理念は大切」という言葉を聞くかと思います。
ところが、多くの中小企業においては、経営理念らしいものはあっても
本当の意味での経営理念を持っている会社は少ないと感じます。

しかし、やはり経営理念をきちんと持つことは大切です。
経営理念とは、経営していく上での経営哲学、基本的な方針、
原点のことであり、その会社の「考え方」とも言えます。

これが明確になることで、一本芯が通り、会社を経営するにおいて
ブレが少なくなりますし、会社全体が一つの方向に向かうためには
やはり必要なものだと言えます。

一方で、「経営理念なんて作ったって自己満足だ」というような
意見も聞こえてきます。

たしかに、そういった状況にある会社は多くあります。
しかしその原因は、ただ作っただけ終わってしまい、経営理念を
機能させるための行動をしていないからに他なりません。

経営理念を策定したならば、それを社員に徹底的に浸透させ
その経営理念のもと行動していくことを徹底させなければ、
それは、自己満足で終わってしまっても仕方ない話です。

私も経営改善支援を行う中で、経営理念の見直し、
若しくは一から作るというケースがありますが、
その際は、次のようなステップで行います。

1.ミッションの決定
2.ビジョンの決定
3.バリューの決定
4.行動指針の決定

このステップを社長だけで行うのではなく、
取締役や幹部社員はもちろん現場の方にも参加してもらって、
経営理念作成チームを作るとより良いです。

経営理念と一言で言っても、それ自体についての説明や解説は
様々であり、これだと言った確定的なものはないのかもしれませんが、
私がいつも使っている構成は、下記の通りで、この考え方は
比較的多いのではないかと思います。

【経営理念の構成】

・ミッション(会社の使命、目的
・ビジョン(会社の目標、あるべき姿)
・バリュー(会社の共有する価値観、判断基準)

以上が基本的な経営理念の構成だと考えます。

ミッションとは、会社の使命、存在理由、目的であり、
何を達成したいのかというものです。

ミッションをはっきりさせることで、社員を同じ方向を向かせる効果や
社員の採用においても同じ方向を目指す人が入ってくることになります。
定職率アップにもつながるでしょう。

ビジョンとは、ミッションを達成するための具体的目標、
会社の将来あるべき姿、1年後、3年後、5年後にどのような
会社を目指すのか。ということです。

ビジョンがない会社経営は、行き先を決めない気ままなぶらり旅と
同じで、行き当たりばったりな経営をすることになります。
プライベートでぶらり旅をするのは、楽しいことですが、経営において
これをやってしまっては、会社は衰退していきます。

経営改善中の会社の社員が離れていく際の離職理由の一つに
会社が何を目指しているのかわからず、不安であることが挙げられます。

つまり、ビジョンをはっきりと伝えず、ただ「頑張れ」「売上上げろ」という
精神論に終始してしまっていては、社員はついていくことができないのです。
特に優秀な社員であればあるほど、見限っていきます。

そして、バリューとは、会社の価値観です。
ミッション・ビジョンを達成させる為には、会社の価値観をはっきりさせ、
意思決定や行動の判断基準を明確にさせていく必要があります。

個々の価値観は当然様々ですが、共通の価値観を明確にしていかなければ、
個人の勝手な判断で行動してしまうこととなり、それが原因で顧客からの
クレームやトラブルの発生に繋がります。

例えば、うちの会社は国産にこだわって質の高い商品を提供するのだ。
という価値観を持っていたとしても、それが明確になっていなければ
社員個人が「中国産の方が安く作れて価格競争力がついて良いよね。」と
低価格を価値の基準として商品づくりをしてしまっては、その会社の
根底が崩れてしまいかねません。

以上、ミッション、ビジョン、バリューについて明確にしたならば、
さらに「行動指針」を作っていく必要があります。

行動指針とバリューはよく似たものですが、バリューとは、
判断の基準となる価値観であり、マインドセット的な意味合いです。
一方で、行動指針とは、より具体的なものであり、顧客対応や
日々の業務などにおける行動の指針を明記します。

このように、ミッション、ビジョン、バリュー、行動指針が
それぞれ整合性をもった形で策定することで、会社に一本の
芯が出来上がります。

そして、この後が何よりも大切なことですが、
作った経営理念をきっちり現場に浸透させなければなりません。

末端の社員まで理解を浸透させなければなりませんが
社長が根気強く取り組まなければ、浸透させるのは難しいです。

一度、社員に発表して、「しっかり覚えるように!」とだけ
言えば、自然と浸透していくなら苦労はありませんが、現実的に
それで浸透することはまずありません。

朝礼や会議の際など、ことあるごとに社長がしつこいくらいに
経営理念について語り、社員を叱ったり指導する際も感情ではなく
経営理念に基づいた指導をしなければなりません。

例えば、社員の誤った行動をとった際は、「当社の経営理念に
反した行動であるから直しなさい。」と言ったようにです。

最後に、一度作った経営理念は、変えてはならないのか?
という疑問を持つ社長もいらっしゃいますが、経営理念は
会社の成長とともに変化させていくことが必要だと思います。

社長の想いと言うのは、残念ながら思った以上に社員には
届いていないものです。
規模が大きくなればなるほどその傾向は強まります。

経営理念により明文化させて、社員全員一丸となって
取り組んでいく環境作りは欠かせません。

 

本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』から記事を一部抜粋したものです。

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