Vol.214 新創業融資について日本政策金融公庫の方にいろいろ聞いてみました。

配信日:2014年4月28日

配信日:2014年2月28日

1月下旬に配信したメルマガにて「創業支援関連制度の拡充」の内容に
ついてお伝えしましたが、2月24日から運用が開始されています!

現在、支援させて頂いている案件がいくつかある関係で、
いろいろ公庫の方に質問をさせて頂いたので、その回答の
内容なども含めて、整理してお伝えいたします。

前回もお伝えした通り、今回の拡充により創業関連制度は、
大幅に要件が緩和されていますので、これから創業を考えている方や
創業まもない方にとっては、要チェックの内容です。
(前回のメルマガの内容もお読み頂くと分かりやすいかと思います。)

特に、多くの創業者が利用する代表的な創業融資制度である
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の要件緩和はものすごいです。

「新創業融資制度」とは、これから創業を予定している方や
創業してから2期の決算を迎えていない方が利用できる
無担保・無保証の融資制度です。

○新創業融資制度

貸付限度額:1,500万円⇒3,000万円(運転1,500万円)
自己資金要件:開業資金総額1/3⇒1/10
貸付期間:設備10年⇒15年
据置期間:6ヶ月⇒設備2年、運転1年

創業融資を受ける際に大きなハードルとなる自己資金の要件が
開業資金総額の3分の1から10分の1へと大幅に緩和されました。

さらに、下記に当てはまる方は、
自己資金の要件を満たしたものとされます!
つまり、自己資金がなくとも申し込むことができます!

(1)次のいずれかに該当する方
・現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
(ア)現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
(イ)現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
・大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、
その職種と密接に関連した業種の事業を始める方

(2)新商品の開発・生産、新しいサービスの開発・提供等、新規性が認められる方
(ア)技術・ノウハウ等に新規性が見られる方
(イ)経営革新計画の承認、新連携計画、農商工等連携事業計画又は地域産業
資源活用事業計画の認定を受けている方
(ウ)新商品・新役務の事業化に向けた研究・開発、試作販売を実施するため、
商品の生産や役務の提供に6ヵ月以上を要し、かつ3事業年度以内に
収支の黒字化が見込める方

(3)中小企業の会計に関する指針または基本要領の適用予定の方

まず、(1)にあるように創業する業種に6年以上のキャリアがあれば、
自己資金の要件を満たしたものとされ、自己資金が必要ないということになります。
このくらいのキャリアを持つ方は創業者の中にも多いので、多くの方が
当てはまるのではないでしょうか。

(2)と(3)は若干分かりにくいかもしれませんね。

例えば、(2)の(イ)に「経営革新計画の承認」とありますが、
これは、業歴1年以上の会社でないとそもそも経営革新計画承認申請が
できませんので、業歴1年以上であり2期未満の方じゃないと
当てはまらないことになります。

すると、そもそも1期を超えている場合は自己資金の要件は
ないので、自己資金の要件を満たしたものとされるのは、
当たり前ではないか。ということにもなります。

ここら辺、公庫の方に質問してみましたが、
ちょっと戸惑っているようでした。
まだ現場ではきちんと整理されていないのかもしれませんね。

(3)については、創業前の方ですと、税理士さんとの関係も
まだない場合が多いと思います。
すると、中小企業の会計に関する指針または基本要領の適用の
予定があるかどうかをどのように示すのか。

これについて、公庫に質問してみました。

回答は、融資が決定し、金銭消費貸借契約をかわす段階で、
誓約書に融資申込者からサインをもらうことで対応するとのことでした。

もし、実際に決算を組んだ結果、中小企業の会計に関する指針または
基本要領の適用が認められないとなった場合はどうなるのか?

回答としては、場合によっては、一括弁済の請求となる
可能性もあります。とのことです。

最後におっしゃっていた事がとても印象的でしたが、
あくまでもこれらは、「自己資金の要件を満たす」ための
ものであり、審査とは全く別のものです。
したがって、審査上は当然自己資金については見ます。
とのことです。

やはり、前回のメルマガで私がお伝えした通りですが、
実際の融資審査の現場において、本当に自己資金について見る目が
緩くなるのかと言えば、やはり自己資金は重要な審査項目となる
ことに変わりはないようですね。

実績のない創業者を審査する上で、自己資金の有無及び金額は、
その方の計画性や覚悟を読み取る数少ない要素だからです。

表面的な要件で安心せずに、やはり、創業を考える際には、
自己資金をきちんと用意するように心がける必要があります。

何よりも、ご自身のためにそうすべきです。

とはいえ、これまで自己資金のハードルを超えられずに、
申込みすら出来ないという方も多かったですが、要件緩和により、
まずは土俵に上がれるということになりますので、チャンスは
広がることになりますね。

制度の詳細については、下記のホームページで調べてみてください!
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html

本記事は、赤沼慎太郎発行の無料メールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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