Vol.193 債権管理の徹底

配信日:2013年6月13日

売上、利益のアップを必死に考えている社長はたくさんいますが、
意外にも「債権管理」について本気で取り組んでいる社長は少ないと
感じます。

いくら売上を上げて損益計算書上の利益を増やしても、その売上金の
回収をきちんとできないと、資金繰りにはまるで反映されません。

忙しく動き回って売上を上げても、一銭の得にもならないという
笑えない話になってしまいます。

うちの会社は売上金の回収が不安定で資金繰り管理がしづらい。。。
という会社さんは、次のことをきちんと検討してみてはいかがでしょうか。

1.売上回収方法の適正化
2.売上入金の管理
3.支払い遅延が起きた時の対応策

まず、「売上回収方法の適正化」ですが、
一般的には、企業間取引(BtoB)の場合の売上金の回収方法は、
「当月末日締め、翌末日払い」といったように商品を販売した時点で
支払いを受けるのではなく、1か月後などにまとめて回収します。

この方法は、いわゆる「掛取引」であり「信用取引」の一つです。
信用取引と言うだけあって、お互いの信用の上に成り立つ取引ですね。

ところが、多くの売掛金の貸し倒れは、その信用が崩れてしまって
発生してしまうのです。

もちろん、だからと言って「代金引換え」で取引すればよいと
簡単に解決する問題ではないですが、相手の信用度に応じて、
「前払い」や「代金引換え」、「手形取引」などを検討していく
必要があります。

また、可能な場合は「カード払い」にしたり「集金代行」のサービスを
利用するなども考えられますね。

相手が忙しくて振込手続きが遅れがちという場合であって、
継続的な取引であれば「口座引落し」ということも考えられます。

このように、いろいろな手段はあるので、状況に応じて回収リスクや
回収の手間を低減させていく努力は必要になってきます。

次の「売上入金の管理」ですが、
多くの会社を見てきて思うのは、意外にも入金管理が疎かな会社が多いです。

いくら営業マンが一生懸命売上を上げても、入金がなければ意味がありません。
営業マンの仕事は、「売ってくる」だけではなく「回収」してはじめて
仕事が完了するということを徹底させるべきでしょう。

小口の売上がたくさんある会社は、その管理が大変だということも
よくわかりますが、だからと言って管理をしなければ自社の存続に
重要な影響を与えるのですから、営業と同等以上に力を入れなければ
なりません。

「あれ、この入金ってどうなってるの?」
などと、半年も経ってから気付くというケースもありますが、
そうなってしまうと、今さら督促しづらい。ということにもなります。

そうならないためにも、売掛金の管理をエクセル等で一覧表を作って、
入金があったら消し込むという地道な管理をしていく必要があります。
便利なソフトもたくさんあるので、そういったものを活用するのも
一つの方法です。

また、請求書に「支払期日」が記載されていないという会社も
よく見かけますが、これは、良くないケースです。

これでは、相手はいつまでに支払わなければならないという認識がないので、
いわゆる「ある時払い」的な感じで支払いを行うことになります。

基本取引契約書などで支払いについて取り決めをしていれば良いですが、
そうでない場合、支払い日が決まっていないので、「支払い遅延」という
状態がなく、支払いを督促するにも精神的にしづらいということになります。

私の顧問先で請求書に支払期日を明記することをアドバイスしたところ、
支払遅れが8割程度減ったという例があります。

さらに、期日が明確になっているので、その日を過ぎたらすぐに連絡をする
という督促のルールも作りやすくなり、未回収を減らすことができます。

請求書に支払期日を明記していない会社は、ぜひ取り組んでみてください。

最後に「支払い遅延が起きた時の対応策」についてです。

つまり、支払い督促のルール化ですね。

一般的に、人は支払い督促をすることは好きではありません。
精神的にも負担のかかる行為なので、できる限り避けたいです。
この気持ちはよくわかります。私もそうです。

とは言え、支払いが遅れてる相手に、支払いを促すことは必要であり、
しなければ、回収ができずに資金繰りを悪化させてしまいます。

取引先との関係性や督促する人間の性格によって差が出ますので、
そういった要素を排除するためにも会社としてのルール作りが必須です。

ルールを作る際には、主に以下の点について決めておくべきでしょう。

・督促のスケジュール
支払期日から何日後に連絡するのか、再督促のスケジュールも含めて決めます。

・督促の方法
電話で督促の連絡をするのか、郵送なのかFAXやメールなのかを決めます。
さらに、誰がするかも決めるべきでしょう。
経理などの管理部からするのか、まずは営業マンがするのか。などです。

・遅延中の対応
継続的な取引をしている場合などは、遅延中の取引についての基本方針を
決めておきます。

・最終的な対応策
万が一、督促をしても支払いがない場合、最終的にどの程度までの対応を
していくのか。法的な手続きまで進めるのか。などについて決めておきます。
このためには、事前に取引先の情報を整備しておく必要もあります。

以上、債権管理をきちんとする為の検討事項をお伝えしました。
ぜひ、売掛金の回収に課題がある会社さんはこういったことを検討して、
健全な資金繰りを目指してください!

本記事は、赤沼慎太郎発行のメールマガジン『起業家・経営者のための「使える情報」マガジン』
から記事を一部抜粋したものです。
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